鉄筋コンクリート造の長寿命化

コンクリートの寿命は、大気中の炭酸ガスが徐々に浸透して、アルカリ性が弱まり(中性化)、内部の鉄筋が錆びるまでの時間で決まります。従って、コンクリートの耐久性を向上させるためには中性化を抑制する必要があります。

中性化を抑制するためには、コンクリートの密度を高めることが大切で、特に表面の密度が耐久性に大きく影響します。 なぜなら、表面にひび割れがあるとそこから雨水や炭酸ガスが入り込み中性化が進行しやすいからです。

つまり、長寿命化のためには、ひび割れのないコンクリートを作ることが重要です。 その為には、水セメント比(セメント重量に対する水の重量比)の小さい、硬い(スランプの小さい)生コンを使用することが大切です。 またコンクリート打設時に、余分な水と空気を上手に追い出す技術力も必要となります。

1.施工

コンクリートはセメントの水和反応により硬化します。水和初期ほど結晶の成長率が高く、硬化には水が不可欠でそれが不足すると水和結晶も成長を停止します。 また打設後は湿潤養生が必要です。

(1)打設前の準備

(a)現場の準備

打設時の人数確保や、湿潤養生の時間など工期や費用にゆとりを持った計画とし、以下の点に配慮しながら打設の準備を行います。

  • 型枠加工の配慮 ・・・ 型枠を強固に組み、またバイブレーターがまんべんなく入れるようにする。
  • 鉄筋加工の配慮 ・・・ バイブレーターが入るスペースを確保して鉄筋を組む。
  • 設備配管の配慮 ・・・ バイブレーターが入るように配管経路を工夫する。強固に組む。
  • 現場の教育 ・・・・・ 施工関係者に適切な施工方法の教育を行い、高品質確保の意識を持たせる。
(b)配合計画書の作成

コンクリートの品質確保のためには以下の配合を守ることが理想的です。

  • ・水セメント比50%以下が目安
  • ・スランプ10cm以下
  • ・単位セメント量320kg/m3以上
  • ・細骨材率40%以下
  • ・単位水量170kg/m3以下

(2)打設作業

作業の要点
  • ・型枠に湿り気を与えた状態で生コンを充填する。
  • ・生コンの重点は、バイブレーターを型枠内の底面まで下ろし、スイッチを入れてから打設を開始する。
  • ・充填作業は生コンを流すのではなく詰め込むように、空気を追い出すようにする。
  • ・再振動締固め作業におけるバイブレーターの挿入間隔は口径の5倍以内とする。
  • ・打設後は、コンクリートが乾燥しないように、直ちに湿潤養生を開始します。

(3)養生作業

作業の要点

型枠やそれを支える支柱によって、所定の強度に硬化するまで保護する「強度に関する養生」と、セメントが水和結晶を生成し、終わるまで表面を保護する「密度に関する養生」があります。

2.維持管理

(1)コンクリートのひび割れ補修

病気と同様、早期発見、早期治療が最善の対処方法です。 ひび割れ補修のポイントは、その巾に関係なく直ちに外気を遮断することです。 それによって、ひび割れからコンクリート中の水分が蒸発することで、乾燥が進み別のひび割れが生じることを防ぎます。 また、外部からの雨水や炭酸ガスなどの侵入を防ぐことでコンクリートの中性化の進行を抑えることができます。

(2)メンテナンス

打放し仕上げでは、コンクリート表面保護や、意匠性の確保を目的として、撥水材や透明塗装仕上げをする場合があります。